20250615

風待月 十五日第三日曜日に寄せて
三人の父へ

始めての木苺は
オレンジ色にきらきらと光って、
ふいに、甘い記憶を呼び起こす。

職場の庭では、沙羅の蕾が
いつもよりたくさん空を仰いでいて
ジャスミンの花は、やっぱり
間違いなく、あの香りがする。

今日は事務所で図面を描く日曜日。
静かな空間にひとりきり、
あれやこれやと思い出す。

三人の父。
実の父、義理の父、
そして子どもたちの父としてのあなた。

それぞれに違って、
でもみんな、どこか似ていて、
優しくて自分の道を淡々と歩く人たち。

そして、ふと気づけば
いなくなってしまってる。
そんな背中の残し方まで似ている。

でも、ちゃんと
地図を渡してくれたよね。
迷わないようにと、
この場所にそっと置いてくれてた。

贈り物もここにある
姿が見えなくても
教えが道標になっている。

毎日あわただしく、
それでもどうにかやっていまーす。

父の日は、
ありがとうを思い出す日。
生き方を教えてくれた人たちに、
言葉にならない想いを手渡す日。
おめでとう…と ありがとう…と✨